はだしのあるきかた

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【読んだ気になれる本紹介】「星の王子さま」の内容を分かりやすく解説/簡潔まとめ/感想 ※ちょっとネタバレあり

発行日:1943年
著者アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
著者国籍:フランス
ジャンル:児童文学_ファンタジー
境遇/世界観:愛_心_絆_人間_寓話

面白かった度:★★★★★

 

星の王子さまは、

 

「ある星の王子さまが、様々な星を旅し様々な人間や動物や植物と出会う話」

という話を、王子さまから聞く、パイロットの「僕」の話

 

です。

少し詳しく説明すると、

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パイロットの「僕」はサハラ砂漠に不時着します。

飛行機には「僕」しか乗っておらず、辺りに人もいない場所であったため、「僕」は自分自身で飛行機の修理を試みます。

 

「僕」が飛行機の修理をしていると、突然声を掛けられました。

「ひつじの絵を描いて!」

その声の主が星の王子さまでした。

 

「僕」は驚いて色々質問しますが、王子さまは質問には全く答えようとせず、一方的に色々なお願いや質問をします。

「僕」は飛行機を直さなければならず忙しかったので、あまりかまっていられませんでしたが、無視すると王子様はとても機嫌が悪くなるので、適当にでも王子様の相手をしました。

「僕」は、王子様のお願いを聞いているうちに、彼のことが少しづつ分かっていきました。

 

王子さまは、家一つ分くらいの小さな星に住んでいて、ある日そこにはわがままで身勝手な一輪の薔薇が咲きました。

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薔薇はとてもきれいで王子さまは魅了されました。

薔薇は自分のことを「この世に一輪しかない花だ」と言い、王子さまに大切にさせました。

王子さまはその薔薇のわがままを聞き、一生懸命世話をしていましたが、そのうちあまりに身勝手な薔薇のことが嫌になってしまいました。

 

王子さまは星を離れることを決心し薔薇に別れを告げました。

薔薇は悲しみ、王子さまに「本当はあなたを愛していた。」と言いました。それでも星を離れる決心をした王子さまの背中を押しました。

 

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王子さまは、他の小さな星に旅に出ます。

そして行く先々の星で色々な大人に出会います。

 

王様がいた星では、威厳を保つことに必死な王様が、王子さまにはとても変に見えました。

 

大物気取りの人がいた星では、自分を褒める言葉しか聞こうとしない大物気取りに、王子さまはうんざりしました。

 

よっぱらいがいた星では、酒ばかり飲んで惨めな気持ちになるのを忘れるために、また酒を飲むよっぱらいを見て、王子さまは憂鬱な気持ちになりました。

 

実業家がいた星では、お金のことしか考えない実業家が王子さまには分からず屋に感じました。

 

ガス灯の点灯人がいた星では、他の人のために働く点灯人となら王子さまは友達になれそうだと思いましたが、仕事に追われていて不憫に思いました。

 

地理学者がいた星では、地理学者なのに自分の目で世界を見ない地理学者が、王子さまには不思議でした。

そして、王子さまは地理学者に、山や海と違い花は「儚い」ということを教わりました。

すると王子さまは自分の星の薔薇が心配になりました。

王子さまは地理学者に次にどこに行けばいいか聞くと地理学者は、

「地球を訪ねなさい。」

と言いました。 

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そして、どの星よりもうんと大きい地球に来ました。

地球には他の星で出会ったような不思議な大人が沢山いました。

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ある時王子さまは、とある庭園を見つけました。

そこには沢山の薔薇が咲いていました。

王子さまは、薔薇はこの世に自分の星にある一輪だけしか存在しないと思っていたので、薔薇に嘘をつかれていたと感じ、とてもがっかりしました。

 

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王子さまはあるキツネに出会いました。

王子さまはキツネに「一緒に遊ぼう」と言いました。

しかしキツネは、「君とは一緒に遊べない。懐いてないから。」と言いました。

 

キツネは、人間は一番大事なものが見えなくなってしまっていると言い、今の王子さまもそうであると感じました。

キツネは王子さまに、「僕に懐かせて!」と言います。

しかし王子さまには時間がなく、懐いてしまうと別れが悲しくなってしまうからと嫌がりました。

しかしキツネは、

「人間は時間が無くなり過ぎて大事なものが見えなくなっていて、本当の友達もいない。君も友達が欲しいなら僕を懐かせて!」

と言います。

そして王子さまは、キツネと少しづつ仲良くなり、キツネを懐かせました。

 

しかし、懐いてすぐに王子さまは行かなければなりませんでした。

キツネはすごく悲しみました。そしてこう言いました。

「薔薇の庭園に行ってみて。きっと君の薔薇が世界に一輪だと気づくから。」

 

王子さまは以前行った薔薇の庭園にもう一度行きました。

すると、以前は自分の星の薔薇と同じものが沢山あるだけにしか見えなかった庭園の薔薇が、自分の星の薔薇と全く違う薔薇に見えるようになりました。

そして王子さまは気が付きました。

自分の星にある自分が時間をかけて大事に育てた薔薇は、他の薔薇と一緒ではなく、世界に一つだけの自分にとって特別な薔薇なんだと。

すると王子さまは自分の星の薔薇がとても恋しくなりました。

  

このような王子さまの今までの旅の話を、「僕」は長い会話の中から何とか聞き出します。

 

そしていよいよ、持っていた飲み水も底をつき「僕」は命の危機を感じ始めますが、以外にも飛行機の修理が上手くいきます。

そしてその日の夜が王子さまが星からやって来てちょうど一年の日でした。

 

そして王子さまはその日の夜、静かに姿を消し、自分の星に帰っていきました。

 

飛行機が直った「僕」は、無事に帰ることができました。

そして、王子さまとの思い出は決して忘れませんでした。

 

本を簡単にまとめると、

 

世界が進歩し、人間が成長するにつれ、つい忘れてしまいがちな「大切なこと」を教えてくれる物語

 

です。

 

感想

 最初に読んだときは本の後半まで読み進めても、「この本は一体何を伝えたいのか」があまりわかりませんでした。

しかし、王子さまとキツネのくだりを読み、子供の頃は分かっていたはずのことを自分が忘れかけていたことに気づき、電車の中だというのに泣いてしまいました。(笑)(バレないようには頑張った)

 

一通り読み終えてからもう一度読み返すと、最初に読んだときについ見逃していたことにも気付けたりしました。

それは子供ならば一度読めば気がつくことなのかもしれません。

あとがきより、「大人である飛行士が、小さい頃の自分と対話している話と読むことができる。」とありますが、私もそう感じました。

 

この本を読む前と読んだ後では私の中の価値観が変わりました。(変わったというよりは子供の頃持っていた価値観を思い出したのかもしれない)

 

本の作者”アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ”自体も飛行士であり、この本を出版後偵察飛行に飛び立ったきり行方不明になっているそうです。(後に航空事故だと発表されています。)

この作品が彼の遺書だと思うと、また不思議な感覚になります。

 

1943年に出版され今も世界中で愛読されているこの本は、作者から全ての人類へ大切なことを伝える遺書なのかもしれません。

子供にも大人にも、ぜひ読んで欲しい本だと思いました。 

※色々な方の翻訳がありますが、私は河野 万里子さんの翻訳が子供らしい可愛らしさが表現できていて好きです。