【読んだ気になれる本紹介】「予想どおりに不合理」を分かりやすく解説/簡潔まとめ/感想 ※ちょっとネタバレあり
発行日:2008年
著者:ダン・アリエリー
著者国籍:アメリカ
ジャンル:経済学_心理学、人間科学
境遇/世界観:人間心理_経済学_メンタルヘルス_人間関係
面白かった度:★★★★★
予想どおりに不合理は、
「人間が、いかに自分自身の選択を合理的にできていないかが、研究結果に基づいて分かる本」
です。
少し詳しく説明すると
作者の「ダン・アリエリー」は18歳の頃、事故で全身に火傷を負ってしまいます。その怪我の治療で全身の包帯を一気に剥がされることがとても痛く苦痛腕あり、「どうすれば、より痛みの少ない治療を患者に施せるか」という事を研究するようになりました。
病院の看護師たちは、一気に包帯を剥がす方が患者が痛む時間が少なくなり、それが最善の方法だと思っていました。
しかし、アリエリーの研究結果で、ゆっくり包帯を剥がす方が最終的に感じるストレスは少ない事を証明しました。
アリエリーは、その研究結果結果を以前入院していた病院に伝えに行き、治療法の改善案として提案しました。
しかし、病院の方の反応はそれほど良くはありませんでした。
なぜなら、看護師が包帯を一気に剥がすということは、看護師が長く苦しんでいる患者を見ているのが辛いという感情も入っていたからです。
アリエリーは誰よりも患者のことを考えている経験豊富な看護師が、患者の気持ちを取り違えてしまっていたという現実から、他の人間でも経験を積んでもそこから学ぶことなく失敗を繰り返してしまうのではないかと思い、研究を進めようと決めました。
本の中で紹介されている、人間がいかに不合理な選択をしてしまっているか分かる実験の簡単な内容と結果。
- 人間は、何かと相対的に比較しないと判断できない
(無意識に相対的に判断してしまっている) - 人間は、無料のものがあるとそれに大きく引かれてしまい合理的な判断ができなくなる
(少額のコストを投資すればより大きい利益をえられても、無料という選択肢があるとそちらを選んでしまう) - 人間は、報酬が有ると無いとで行動に対する考え方が大きく変わる
(超低額で作業を依頼するよりも、報酬なしで依頼する方が協力的である) - 人間は、興奮状態の時には自身が想像しているより遥かに冷静な判断ができなくなる
- 人間は、期限を先延ばしにしてしまう
(期限がある方が達成率が上がる) - 自分が所有しているものを過大評価してしまう
(物を売るときの買い手の希望額との大きな隔たり) - 選択肢が増えるほど、合理的な判断ができなくなってしまう
- 人間は、予想や思いこみの結果を得ている
(高い物、ブランド=良い等) - プラシーボ効果は実際にある
(偽薬等でも効果を得られる場合がある) - 人間は不正を簡単に犯す
(バレなければ多少の不正を誰でも行う) - 人間は現金の不正に対する自制心は持ち合わせているが、それと同等の価値がある現金でない物には簡単に不正を働いてしまう
(会社の備品を持ち帰る等) - 人間は、自分の選択をする際他の人の選択に大きく影響を受けてしまう
(自分が注文する予定のものを他の人が頼んだらメニューを変える等)
本を簡単にまとめると
人間は、思った以上に思いこみや刷り込みで物事を判断していて、実際に自分で合理的に判断できていることは少ないみたい
です。
感想
人間化学や心理学には興味があり、とある方が激烈にオススメしていたので読んでみました。
最初は仕事の合間に読み進めていましたが、だんだん読んでいるうちにこの本を読破すれば価値観は大きく変わると確信したので、全部一気に読んでから仕事に取り掛かることにしました。(実際は不可能だったので仕事と並行して読みましたが、読んでる途中でも仕事や人間関係に生かせる知識はすぐに活用しました。)
読み進めるほど眼から鱗が落ち、すごく共感できる実験結果も多かったです。
人間は無意識に不合理な選択をしてしまいますが、人間はこういう不合理な選択をしてしまう生き物だということを自覚しておくことで、より合理的な選択ができるようにコントロールすることができると思います。
どの方にも是非一度は読んでいただきたい本ですが、起業や独立を考えている人は特に読んでおくべき本だと思います。